ブログ「私の古文書学習法」保管箱 2024

「書き下し」と「読み下し」について

  ふたたび「日本史を学ぶための古文書・古記録訓読法」(苅来一志著:吉川弘文館)に関連して

令和6(2024)年4月30日

 

 以前から気になっていて、今もよく分かっていないことの一つに「書き下し」と「読み下し」は違うのか同じなのか、というものがあります。最近、僕なりに気がついたことを書いてみようと思います。

 「書き下し文」とは「漢文を、返り点と送り仮名にしたがって書き下したもの」ですが、では「読み下し文」とは何が違うのか・・・。ヤフー知恵袋の回答には「文章にしたもの(書き下し文)を、読むと読み下し文になります」とありました。定義としてはその通りだとは思います。

 個人的な反省も含めてですが、ときどき正しい訓読が出来ていないこと気がつくことがあります。その原因をふりかえると、用言の「活用」の知識が浅いまま不容易に「読み下す」をしていた、ということにつきます。

その昔、文語体が空気のようにあたりまえに存在していた時代では「書き下し文」は文法を意識することなく普通に読まれていたのだと思います。昔は「書き下し」は「読み下し」と同義であったといえます。

文語体を改めて学習しなければならない現代では、「書き下し文」の読み方も意識しないといけなくなった。古文書に書かれている内容を理解するだけでなく「音も復元する」意識をもって解読を行う必要があると思います。その意味では、「読み下し文」の表記の方が今の時代に合っている気がしています。

 以前、「日本史を学ぶための古文書・古記録訓読法」(苅来一志著:吉川弘文館)を紹介しましたが、改めて「音」を意識しながら読むことについて触れておこうと思いました。同書の帯に書かれていた「なぜそう読めるのか」が更に刺さるこの頃です。

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